告訴は取り下げ・取り消しできる?わかりやすく解説!

刑事告訴の手続きを行った後で「やっぱり告訴するのをやめたい」となった場合、一度行った告訴を取り下げることはできるのでしょうか?

こちらのページでは、「告訴の取り消し・取り下げは可能なのか」「どのように取り消し・取り下げをするのか」「どのような点に注意して手続きすべきか」などについて、くわしく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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告訴の取り消し・取り下げは可能?

刑事告訴は、犯罪の被害者が捜査機関に被害の事実を申告し、併せて犯人への処罰を求めるための手続きです。

しかし、この告訴手続きを行った後に、示談が成立するなど状況が変化して告訴を取り消してほしいと考える場合もあるでょう。

そうした場合、手続きの途中で告訴を取り下げることもできます

告訴はいつでも取り下げ・取り消しできる?

告訴した後であっても、公訴の提起があるまでならば、取り消すことが可能です(刑事訴訟法237条1項)。

つまり、告訴を取り消したい場合は、検察官が裁判所に起訴状を提出する前までに行う必要があるということです。

告訴は被害者による犯人への処罰感情を尊重する考えから認められています。しかし公訴が提起されれば公益も考慮する必要があるため、こうした決まりがあるのです。

非親告罪には期間制限がない

告訴した犯罪が非親告罪の場合、公訴の提起後でも取り消しができます

なぜなら、非親告罪は告訴がなくとも起訴が可能であり、告訴はあくまで捜査の端緒にすぎないからです。

そのため公訴の提起後に告訴を取り消しても、刑事訴訟は行われます。ただ、告訴が取り消されたという事実が量刑に影響する可能性はあります。

告訴の取り消し・取り下げができる人は?

告訴の取り消し・取り下げができるのは原則、告訴した本人です。

ただし、弁護士などが代理人となり告訴している場合は代理人による取り消し・取り下げも可能です。

告訴の一部を取り消せる?

告訴の取り消し・取り下げは、一部を対象に行うことはできません。たとえば犯人が複数いる場合に、「この犯人に対してのみ告訴を取り消したい」といった手続きはできないということです。

そもそも告訴は、犯罪事実を申告してその犯罪を犯した人に対する処罰を求めるものであり、“特定の犯人”という個別的な問題にはならないからです。

一度取り消すと再告訴はできない!

告訴を取り消し・取り下げした後に、もう一度告訴をすることはできません。

刑訴法237条2項により、再告訴は認められていないのです。

ちなみに、上記刑事訴訟法237条2項は親告罪についての規定であると解されており、対象となる犯罪が非親告罪の場合は再告訴もできると考えられています。

告訴の取り下げ方法

告訴の取り消し・取り下げは、司法警察員や検察官に対して口頭あるいは書面で行います。

具体的な手続の仕方について定められているわけではありませんが、「告訴取消書」を提出して行うのが通常です。

告訴取消書には、以下の項目を入れるようにしましょう。

・宛名
・作成年月日
・取消権者の住所、氏名
・対象となる犯罪
・告訴を取り消す旨

また上記項目のほかに、告訴を取り消し・取り下げする理由(示談が成立したなど)を記載することもあります。

まとめ

今回は、一旦告訴をした後でその手続きを取り消し・取り下げできるかどうかについて解説しました。

最後に内容をおさらいしておきましょう。

■告訴は公訴の提起があるまでなら取り下げられる

非親告罪なら期間の制限もない

■告訴を取り下げられるのは原則として告訴した本人

告訴の一部のみを取り下げることはできない

■一度取り下げたら再告訴は不可

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