非親告罪とは?告訴との関係や「親告罪」との違いをわかりやすく解説

「非親告罪」とは、どういう犯罪のことを言うのでしょうか?

こちらのページでは、非親告罪と親告罪の違いや、非親告罪の例、また非親告罪で告訴が取り下げられたらどうなるのかなどを解説しています。

非親告罪について知りたい方はぜひ参考にしてください。

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非親告罪とは?

非親告罪とは、被害者による告訴がなくても起訴可能な犯罪のことです。

親告罪としての規定を受けていない犯罪は、すべてこの非親告罪にあたります。つまり、ほとんどの犯罪は非親告罪であるということです。

たとえば以下に挙げるものは、すべて非親告罪になります。

暴行罪
傷害罪
過失致死罪
傷害致死罪
殺人罪
脅迫罪
強盗罪
強盗致死傷罪
住居侵入罪
公務執行妨害罪
大麻取締法違反
覚せい剤取締法違反
迷惑防止条例違反(盗撮、痴漢)
児童ポルノ禁止法違反

親告罪→非親告罪になった犯罪

近年の法改正により、もともとは親告罪とされていた犯罪が、非親告罪になったケースがいくつかあります。

たとえば、以下のとおり性犯罪やストーカー規制法違反です。

性犯罪

一部の性犯罪は、もともと「親告罪」として規定されていました。

しかし、被害者に告訴するかしないかの判断をさせるのは大きな精神的負担になること、また告訴すれば犯人から報復されるのではとの不安を生じさせることなどから、刑法改正により2017年7月から下記性犯罪は非親告罪となりました。

・強制わいせつ罪(刑法176条)
・準強制わいせつ罪(刑法178条1項)
・強制性交等罪(旧強姦罪、刑法177条)
・準強制性交等罪(旧準強姦罪、刑法178条2項)

ストーカー規制法違反

つきまといなどのストーカー行為を規制する「ストーカー規制法」ももともとは親告罪でしたが、性犯罪と同様の理由により非親告罪に変更されました。

非親告罪の告訴が取り消されたらどうなる?

既述のとおり、非親告罪は、被害者による告訴がなくても起訴が行える犯罪です。

そのため、親告罪とは違い、たとえ告訴が取り下げられたとしても起訴される可能性はあります

示談が重要なことに変わりはない

「告訴が取り下げられても起訴される可能性があるなら、示談しても意味ないのでは…?」と考える方もいるでしょう。

しかし、非親告罪においても示談は重要です。

その理由を以下にまとめました。

不起訴になる可能性が上がる

被害者との示談が成立すれば、検察官が不起訴にする可能性が上がります。

とくに、被害額が大きくない窃盗罪などの財産犯においては、金銭的な被害が回復されており被害者による処罰感情もなければ、起訴の必要性は薄いと判断される傾向にあります。

また性犯罪においても、被害者の意向が重要視されるため、示談が成立していると不起訴になる可能性は上がるでしょう。

刑罰が軽くなることが期待できる

被害が大きいケースなど、示談がまとまっていても起訴されることはあります。

しかし、示談が成立している事実を裁判官が有利に評価し、刑罰が軽くなる可能性は大いにあるでしょう。

非親告罪に問われたときは弁護士に相談!

上で説明したとおり、非親告罪においても、示談は重要です。

しかしながら、加害者やその家族が被害者と直接示談交渉を行うことは、なかなか簡単ではありません。被害者から接触を拒否されることなどが考えられます。

そのため、示談交渉は専門の弁護士に任せるのがおすすです。
被害者の気持ちに考慮しつつ、自分にとって有利な交渉を進めてくれるでしょう。

まとめ

今回は「非親告罪」とは何かについて、くわしく解説しました。

最後に、今回の内容をおさらいしておきましょう。

■非親告罪とは、告訴がなくても起訴可能な犯罪のこと

■近年の法改正で、親告罪から非親告罪に変更された犯罪がいくつかある(強制わいせつ罪など)

■非親告罪の場合、告訴が取り下げられても起訴される可能性はある

■「不起訴になる可能性が上がる」「刑罰が軽くなることが期待できる」という理由から、非親告罪においても示談は重要

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