告訴不可分の原則とは?わかりやすく解説!

ここでは、「告訴不可分の原則」についてわかりやすく解説しています。「客観的不可分の原則」「主観的不可分の原則」の項目に分けて、わかりやすくまとめました。

あまり聞き慣れない言葉ですが、刑事告訴や告発を行うのであれば必ず知っておきたい原則なので、ぜひ最後まで読んで理解しておきましょう。

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告訴不可分の原則とは?

親告罪の刑事告訴においては、「告訴不可分の原則」というものがあります。

この原則は、ひとつの犯罪事実のうち一部に対してなされた告訴や、共犯のうちの一人または数人に対する告訴は、犯罪事実の全部や全共犯者にその効力が及ぶ、という原則です。告訴の取り消しについても同様です。

この「告訴不可分の原則」は、「客観的不可分の原則」と「主観的不可分の原則」とに分けて説明することができるので、以下で詳しく見ていきましょう。

客観的不可分の原則

客観的不可分の原則は、ひとつの犯罪事実のうち一部について告訴や告訴の取り下げがあった場合、その犯罪事実のすべてに対して効力が及ぶ、というものです。

つまり、複数の罪状があるケースにおいて、その罪状すべてが告訴状に記載されていなくとも、告訴の効力はすべての犯罪事実に及ぶ、ということです。

たとえば、他人の家に不法侵入をして窃盗に及んだ犯罪について、「住居侵入罪」での告訴が行われた場合、その効力は「窃盗罪」にも及ぶということになります。

ただし、複数の犯罪により一罪が構成されるケースにおいて「親告罪」と「非親告罪」が混ざっているとき、非親告罪に対してのみ告訴がなされた場合には、親告罪にその効力が及ぶことはありません。

主観的不可分の原則

主観的不可分の原則とは、親告罪について共犯者のうち一人または数人に対し告訴や告訴の取り下げがなされた場合、他の共犯者にもその効力が及ぶ、というものです。

つまり、犯人が複数いる犯罪に対する告訴において、「この人は許すから、あの人だけ告訴したい」といった犯人単位の告訴はできないということです。

ただし、「相対的親告罪(被害者と犯人との間に一定の身分関係がある場合のみ親告罪となる犯罪)」の告訴に関しては、非身分者に対する告訴の効力が、身分関係のある共犯者に及ぶことはありません。つまり、非親族である犯人Aに対しての告訴をしても、親族である共犯者Bにはその効力が及ばない、ということです。

まとめ

今回は、親告罪における「告訴不可分の原則」について、具体例を挙げながら詳しく解説しました。

最後に、今回の内容のおさらいです。

■「告訴不可分の原則」は親告罪の告訴における原則で、「客観的不可分の原則」と「主観的不可分の原則」に分けられる

■「客観的不可分の原則」は、ひとつの犯罪事実の一部について告訴やその取り下げがあった場合、犯罪事実のすべてに効力が及ぶというもの

■「主観的不可分の原則」は、親告罪について共犯者のうち一人または数人に対し告訴やその取り下げがあった場合、他の共犯者にも効力が及ぶというもの

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