告訴状は、警察に提出しても受理されないことが少なくありません。
とくに弁護士や行政書士に頼まず自分で作った告訴状は、なかなか受理されない・・・ということも多いです。
今回は、告訴状が受理されない理由について、わかりやすく解説しました。
また、受理されやすくするにはどうすれば良いのかについても紹介しているので、告訴状を出したいと考えている方はぜひ最後までチェックしてください。
本来なら告訴状は受理されなければならない
犯罪捜査規範63条は、告訴があれば捜査機関は受理しなければならないことを定めています。
つまり、警察は被害者等から告訴があった場合に受理しなければならない義務があるのです。
しかしながら、実際は、告訴状を出してもなかなか受理されないことが多々あります。
警察が告訴状を受理しない理由とは?
上記のとおり犯罪捜査規範により定められているにもかかわらず、警察が告訴状を受理しないのはなぜなのでしょうか?
その理由として、よくあるのは下記6つです。
①証拠が不足している
②犯罪として成立しない
③犯罪事実が判然としない
④被害が軽微
⑤犯人の特定が難しい
⑥業務の多忙
各理由について、告訴状が受理されない理由として妥当なものなのかを、以下で解説していきます。
①証拠が不足している
「証拠が不足している」といって告訴状が受理されないケースが少なくありませんが、本来、これは告訴状を受理しない理由とはなりません。
なぜならば、証拠により犯罪事実が立証できるかは最終的に裁判所が判断することだからです。
②犯罪として成立しない
「犯罪として成立しない」といって告訴状が受理されないケースもありますが、これも上記同様、裁判所が最終的に判断することです。
あくまでも法を執行する行政機関である警察が判断するべきことではないでしょう。
③犯罪事実が判然としない
犯罪事実が判然としないことが理由で告訴状が受理されないケースも少なくありません。
たしかに告訴するには犯罪事実が特定されている必要があり、犯罪の発生場所や日時、方法などについては最低限明らかにしておくことが必要です。
しかし逆にいえば、そうした犯罪事実の特定さえされていれば、その先の詳細については警察が捜査すべきであり、それ以上を求めて告訴状を受理しないというのは考えものです。
④被害が軽微
この理由で告訴状が受理されないことも珍しくありませんが、軽微であったとしても、犯罪であることに変わりはありません。
適法な告訴である以上は、本来は受理されるべきと言えるでしょう。
⑤犯人の特定が難しい
犯人の特定が難しいことが理由で告訴状が受理されないこともありますが、犯人の特定は警察の仕事です。
そのため、本来はこの理由で告訴状が受理されないことも理不尽と言えるでしょう。
⑥業務の多忙
業務が忙しいことにより告訴状が受理されないことも残念ながらあります。
しかし当然、こうした理由で適法な告訴状が不受理となるのは理不尽なことです。
告訴状が受理されやすくなるために知っておきたいポイント
既述のとおり本来なら警察は適法な告訴があれば受理しなければなりませんが、実際には、上記理由などにより受理されないことが多いです。
では、少しでも告訴状を受理されやすくするには、どうすれば良いのでしょうか?
証拠を集める
なるべく多くの証拠を集めることが大切です。
証拠がしっかりとあれば、前記「証拠が不足している」「犯罪事実が判然としない」といった理由で不受理になることを避けられます。
事前に相談しておく
あらかじめ警察に相談しておくと、要件の不備等がなくなり告訴状が受理されやすくなります。
なお、警察署によっは「告訴・告発センター」が設置されていることもあります。
示談については曖昧にしておく
示談が成立すると告訴は取り下げられることが多いため、告訴状提出の際に示談の意向をはっきり伝えてしまうと、警察は「受理しても後から取り下げられるのだろう」と考える可能性が高いです。
そのため、告訴状を受理されたいのなら、示談の意向については曖昧にしておくのがおすすめです。
専門家に依頼する
自分で書いた告訴状はなかなか受理されないケースも多いため、弁護士や行政書士などの専門家に依頼するのもおすすめです。
受理される可能性が高まる、隙のない告訴状を作成してくれるでしょう。
まとめ
今回は、警察が告訴状を受理しない理由としてよくあるものや、受理されやすくするために知っておきたいポイントを解説しました。
最後に、内容をおさらいしておきましょう。
■犯罪捜査規範63条により本来警察は告訴があれば受理しなければならないが、実際には不受理となることも多い。
■警察が告訴状を受理しない理由としてよくあるのは「証拠が不足している」「犯罪が成立しない」「犯罪事実が判然としない」「被害が軽微」「犯人の特定が難しい」「業務の多忙」など。
■告訴状を受理されやすくするには「証拠を集める」「事前に相談しておく」「示談については曖昧にしておく」「専門家に依頼する」ことが大事。