逆告訴とは?要件やメリットデメリット、反訴との違いを解説

ここでは、「逆告訴」とは何かについて解説しています。

ちょっとややこしい「反訴」との違いや、逆告訴の要件、さらには逆告訴するメリット・デメリットなどもまとめました。

「逆告訴って何?」「どんなときに逆告訴できるの?」など、疑問をお持ちの方はぜひこちらのページを参考にしてください。

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逆告訴とは?

「逆告訴」という言葉は、実は、法律用語としては存在しません。そのため、「逆告訴」という言葉について、明確な概念があるわけではないのです。

ただ、“自分が誰かに刑事告訴された場合に、その告訴を行った人を逆に「虚偽告訴罪」で告訴する”行為について、「逆告訴」と呼ばれることがあります。

そのため、本記事でも、この“自分を告訴した相手を「虚偽告訴罪」で告訴し返す行為”を「逆告訴」と定義し、解説していきます。

逆告訴の要件とは?

上述のとおり、「逆告訴」という言葉は、一般的に、自分が告訴されたケースにおいて逆に告訴人を「虚偽告訴罪」で告訴し返す行為を指すために用いられます。

そのため、逆告訴を行うためには、通常の告訴と同様に、いくつかの告訴要件を満たす必要があります

告訴の要件として主に挙げられるのは、以下の3つです。

★告訴の要件については、「☞告訴の要件とは?」でもくわしく解説しています!

告訴先

告訴先は、「司法警察員」または「検察官」です(刑訴法241条)。

「司法警察員」とは、一般的に、警察官のうち巡査部長以上の階級の警察官を言います。

通常は、検察官ではなく、この司法警察員に対して告訴を行います。

告訴の様式

告訴は、書面あるいは口頭で行うものとされていますが(刑訴法241条)、実際には書面(告訴状)を提出して行うことがほとんどです。

そして告訴状には、犯罪事実の詳細や犯人への処罰意思等を明確に記載する必要があります。

告訴状に定められた書式や様式はないのですが、これらを記載していなければ告訴状を受理してもらうことはなかなか難しいので覚えておきましょう。

告訴の期間

虚偽告訴罪は非親告罪のため、親告罪のように「犯人を知った日から6ヶ月の期間内」といった期間制限は設けられていません。

公訴時効期間(刑訴法250条)が過ぎていないかぎりは、いつでも告訴することができます。

虚偽告訴罪の成立要件とは?

なお、虚偽告訴罪とは、虚偽の告訴をした者について問われる犯罪です(刑法172条)。

「虚偽」は嘘のこと、「告訴」は犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める行為のこと。
つまり、嘘の犯罪事実を申告し、その犯罪に対する処罰を求めた場合に成立するのが虚偽告訴罪です。

刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で虚偽の告訴をした場合に、この虚偽告訴罪が成立します。

逆告訴のメリット&デメリット

逆告訴は、告訴された犯罪に関して自分が事実無根であることをアピールするために行われることがあります。

また、示談交渉に入ることを想定して、その交渉材料にする目的で逆告訴を行うこともあるようです。

こうした効果も期待できる逆告訴ですが、逆告訴を行う際には、その目的や自分のケースにおけるメリット、逆に考えられるデメリットなども考慮しながら慎重に検討することをおすすめします。

今後の対応を含めて弁護士に相談するのが賢明と言えるでしょう。

「反訴」との違いは?

「反訴」とは、民事訴訟における被告(訴えられた人)が、原告(訴えた人)に対し、同じ手続きの中で訴訟を提起し返すことです。

反訴を行うことにより、本訴と同じ手続きの中で審理することが可能となります。

このように、反訴は民事訴訟における手続きのことであり、前述のとおり逆告訴は刑事告訴における手続きのことであるため、ここに違いがあると言えます。

ただし、既述のとおり「逆告訴」という言葉は正式な法律用語ではありません。
メディアによっては、反訴と逆告訴を同義で使っていることもあるようなので、注意が必要です。

まとめ

今回は、「逆告訴」という言葉について解説しました。

最後に、本記事の内容をまとめておさらいしておきましょう。

■「逆告訴」という言葉は、法律用語としては存在しない

■自分を告訴した相手を虚偽告訴罪で告訴し返す行為について「逆告訴」と呼ばれることがある。

■逆告訴は、自分が事実無根であることをアピールするためや、示談交渉での交渉材料にするために行われることがある。

■「反訴」は、民事訴訟の被告が原告に対し、同じ手続きの中で訴訟を提起し返すこと。

■「逆告訴」は正式な法律用語ではないため、メディアによっては「反訴」と「逆告訴」が同義で使われることもある

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